ジェネッタの日々あれこれ

休日などの備忘録、面白かった本の感想など、メモしてきます。

衆院選の感想(今更ながら)

 もう先週のことですが、衆議院選挙が終わりました。

 

 結果は世論調査のとおり、自民公明がほぼ現状維持、共産減少、社民維持、立憲躍進、希望と維新減少という形でした。

 

 選挙結果の分析は大方色んな場所でなされていると思うので、個人的な感想だけ言えば一つだけ。僕が応援した共産党が21議席から12席に減少したのは、とても残念でした。とりわけ僕の地元で立候補された方や、個人的にファンである東京の池内沙織さん等は、人格的にも、議員の力量としても申し分なく、国会で戦ってほしいと心から思っていました。しかし、落ち込んでいる余裕もないです。今後どんな状況になろうとも、今自分にできることを地道にやっていくしかないと思っています。

 

 さて、与党が三分の二の議席を獲得したことで、刻々と改憲への道のりを進めつつあり、恐怖と緊張から抜け出せない日常が続くのですが、何とか冷静になって、なぜ自民党は何だかんだ言って多数派を握るのか、一番真面目で骨太な公約を掲げた共産党は躍進できないのか、考える必要はあると思います。下記のとおり、少し調べてみました。

 

 

www.businessinsider.jp 

 

www.buzzfeed.com

 

toyokeizai.net

 

antenna.jp

 

 他にも自民党が支持される声をあげた情報はあるかもしれませんが、こうした内容や、ネット上に上がっていた声をみると、大体が「日本を守ってくれる」という声や「経済政策とかが安定してる」っていう声が多数なのでしょうか。もちろん僕からしてみれば、安倍さんなんて経済も安全保障も窮地に叩き込んでる張本人じゃんって思うのですが、どうも世間ではこんな扱いみたいです。

 

 積極的に安倍さんが大好きな、いわゆるネトウヨ系の人達も一定数いると思いますが、多くは消去法で選んでる印象があります。自民党が好かれているというより、余りにも野党のイメージが悪いのでしょう。よく「民進党は言ってることがブーメランだ」とか「共産社民は平和や9条原理主義で、理想主義的だ。中国や北朝鮮からの危機に対応できない」などの声が聞かれます。

 

 率直に言って、その声は結構誤解あると思っています。特に共産党は、中国や北への対応は手厳しいのですが、ネガティブな印象が余りにも先行してしまっています。

 

 マスコミも、共産党が街宣してる場面はいつも「反安倍」とか「改憲阻止」みたいなシーンばかり映すので、具体的な経済政策があることをみんなが知らないということもあるかもしれません。

 

 ただ、共産党自身の宣伝が上手くないところも、実際あると思います。

 http://www.jcp.or.jp/web_download/201710-senkyo-gogai2.pdf

 上のチラシですが、皆さんはどう思ったでしょうか。これを見た、とある僕の知人は極めて不服そうでした。「ゴミを増やすな!」とかtwitterで書いてました。

 

 彼自身がネトウヨ的な性質を持ち合わせているのですが、一方でアベノミクスに未来がないことも理解しているし、政治の世界で労働政策をしっかり考えてほしいという内容を時々伝えることもあるのですが、それでも結局自民党を選んでしまうのです。

 

 今の20代から30代にかけて自民党の支持率が高い理由の一つは、批判ありきでないという「イメージ」が確立しているからでしょう。その点、枝野さんが立ち上げた立憲民主党の戦術はうまかった。センスのいい映像をバンバン流したり、SNSを上手く使ったりというのは勿論ですが、枝野さんは安倍批判の前に、「政治とはこういうものだ」と市民に啓蒙するタイプなんですよね(枝野さんの最後の演説)。日本記者クラブ党首討論で、志位さんが選挙に込めた一言が確か「安倍暴走政権に退場!」だったのに対し、枝野さんが「まっとうな政治」だったのが印象的でした(間違ってたらごめんなさい)。

 

 共産党公約を見ればわかるとおり、統計的な数値を用い、上手く論証してることもあり、経済政策はどこよりしっかりしているという強みがあります。平和や反安倍も大事ですが、例えば数年前にあげた「ルールある資本主義」みたいなスローガンをもう一度掲げ、経済政策に力点を置いた戦略を考えてみてもいいと思います。

 

 また、もう一つの明確な対抗軸として、これは共産党に関わらず立憲野党全体にいえることですが、歴史問題と安全保障への言及が弱いのです。

 

 安倍さんは日本会議という極右団体をバックに、凄まじい執念で過去の日本の植民地支配・侵略戦争を肯定する世界を作ろうとしています。おじいちゃんの夢を叶えたいというのもあるのでしょうが、過去のどの政権よりその勢いは凄まじい。まさに「歴史否定のサラブレッド」です。


 同時に、中国や北朝鮮へに対する市民の悪感情を徹底的に利用して、軍備増強して近隣国を抑えつけることこそが安全保障のリアリズムであると触れ回っています。歴史否定と対中・対北強靭策はリンクしてるんですよね。

 

 日本の加害の歴史をもっと、市民や野党が学習し、相当に浸透している中国や朝鮮・韓国への蔑視感情を乗り越えないといけないです。また、武装とは違う安全保障のリアリズムを掲げていかないといけないです。

 

 実際問題として、中国は現在軍備増強をしているのも事実だし、北の核問題も深刻ですが、真面目に日本を攻撃しようとしたらかなりリスクがあります。世界は第二次大戦前と違って、自由経済で密接に結びつき、とりわけ日本のような経済大国を混乱させたら、その混乱は自国経済にも跳ね返ってくる。そういった当たり前の現実をもっと与党や市民にたいし突きつけないといけないのです。

 

 長くなりましたが、今後の共産党を中心とした立憲野党は、弱点である歴史問題や安全保障を研究すると同時に、経済分野を中心に、安倍政権とは明確に異なる社会像を打ち立てる必要があると感じています。以上です。